雨の夜はヤバいぜ(前半)
雨の夜は嫌いだ。雨滴が濡れた路面がヘッドライトを照り返し視程が利かない。大切な何かを見落としそうで不安になる。あの夜もそうだった。
真夏というのに気温は低く1ヶ月しか経っていない新車の匂いは鼻まで届かない。寮まであと1kmを切った。曲がるべき最後の交差点まで100mもない・・・
前を走るダイハツ・シャレードはリア窓にレースのカーテンを引き前方を見通せない。だから彼が厚木街道の真ん中で停まったとき、私には状況が全く見えていなかった。
対向車のライトの明かりの具合から↓こんな状況のように思えた。
ちょうど横断歩道を挟んで停まっているような感じだが、そこには何も無いはずだ。こんな雨の夜に誰が横断しているのだろうか。
そのときシャレードが大きく回頭して路肩の空間に移動した。前方の視界が開け、ようやく状況が判明した。
対向車が二輪車をはね、怪我人と二輪車がこちら側の車線に転がっている。はねた方はフロントガラスに白く蜘蛛の巣状のヒビが入り二輪車のすぐ横に停まっている。
道路が塞がれている。
横たわる怪我人を何とかしないと先に進めない。待避できるスペースはシャレードが入ってしまったので左の歩道に方輪を乗り上げ、ヘッドライトで怪我人を照らすようにしてクルマを降りた。
シャレードのドライバーも降りてきた。対向車線の後続車や通りがかった人たちも出てきた。正に事故直後だったのだ。
怪我人の手首に触れて脈を診た。素人目にもヤバいと分かる。動かすのは無理だろう。
濡れた路面は怪我人の体温を奪うだろうが傘をさしかけるのが精一杯。
片側1車線だが交通量の多いそれでいて回避ルートの少ない道だ。交通が完全に遮断されれば救急車の到着にも支障をきたすだろう。既にヘッドライトの行列が彼方まで続いている。交通整理をし、片側ずつ交互にクルマを流すことにした。
怪我人を動かせない以上、事故車をどけなければならない。誰かが現場から加害車を移動させ、横浜側に私、厚木側シャレード君が立った。
もっと早くに気づくべくだったが気づいていても何もできなかった。
現場に残ったのは怪我人と壊れたバイク・・・それに私のジェミニ・・・が加害車に見えるではないか!
しかし状況はもっと悪かった。横浜側に立った私が事故現場側に振り返って見たモノは・・・

私のジェミニはライトが片方消えてる・・・・
後半に続く